カジノとパチンコの論理学 民主党 遊技業に関する法律案5 型式検定を巡る攻防

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民主党 遊技業に関する法律案5 型式検定を巡る攻防

民主党の「娯楽産業健全育成研究会」(娯楽研)はパチンコ業界の規制緩和を目的に活動している、党所属国会議員による議員連盟です。
(詳しくはこちら 民主党のパチンコ換金合法化1 娯楽研のメンバーの名簿と目的
2010年6月にまとめた「遊技業に関する法律案」(パチンコ法案・遊技業法案)を11年の通常国会に提出する方針で、この法案の中には遊技機(パチンコ・パチスロ機)の規制緩和や監督官庁を警察庁から経済産業省に移管する趣旨の条文が盛り込まれています。
(詳しくはこちら 民主党の遊技業に関する法律案1 原案の概要と予測される効果

今回から2回の予定でこのパチンコ法案に関係する大きな動きとして、パチンコ業界関係者が設立した「日本遊技機型式検定機構」について取り上げていきます。
この日本遊技機型式検定機構とは、遊技機(パチンコ・パチスロ)の機種の賭博性(射幸性)についての検査をするための機関で、現在検定を担っている「保安電子技術通信協会」(保通協)と競合させる狙いがあります。

今回の記事では機構の設立の経緯について述べる前段階として、現状の遊技機の検定制度のあらましについて簡単に取り上げ、制度を取り巻く様々な要因について分析します。
法案の直接の内容には触れませんが新たな検定機構の認可は、今回の娯楽研の法案においては主管を経済産業省に移す構想と並ぶ規制緩和の目玉の一つです。


試験機関の必要性

戦後、パチンコが庶民の娯楽として広く普及すると、新規に設置されるパチンコ台の台数ほか、交換されて新たに導入される機械の台数が増加します。
さらに、1980年代にパチンコのフィーバーブームが起こり電子制御の遊技機が増加すると、爆発的人気による検査数の増加が警察業務に支障をきたしたほか、電子機器への理解の不十分な試験官による検査が行われたり、徐々に問題が生じてきました。

そこで、84年に行われたパチンコの規制を定める風営法の大幅な改正作業の際に、各都道府県別に行われていた機種の認可を補完することを目的に、新たに「型式検定」を行う外部の試験機関を指定できるようにしました。


型式検定とは何か

「型式」とは自動車や電化製品製造等において使用される製品の機種のことであり、パチンコ業界以外においても安全性を求められる一部製品について、市販される一台一台の検査を行う替わりに用いられています。
そこでは、国や民間の検査機関が製造業者から提出されたサンプルを詳細に検査し、その試験を通過すると同じ型式の製品の検査を一括して免除されます。
型式による検定制度を用いると、同じ型枠で成型された商品のように大量生産の製品の性能が標準化していることを前提として、本来必要とされる検査のためのコストを大幅に圧縮することができます。

遊技機の型式検定においては、製品の性能によって生じる賭博性を制限することを主な目的としています。

具体的に例を挙げると、パチンコ玉発射数を金額換算で1分間に400円以内、一回の大当たりを9600円以内とし、パチスロにおいてもこれに準じるよう制限しています。
また、遊技開始から一定時間経過後の最高獲得金額、最高消費金額についての制限枠が複数定められ、この範囲を超える機械は検定を通過することが出来ません。


警察と業界側の綱引き

警察庁や都道府県警では、犯罪を防止する保安警察が犯罪の芽を摘み国民の生活環境の悪化を防止する役割を担っており、風俗産業の規制・取締りはその中の大きな柱の一つです。
出玉の増減の波が激しい過度の賭博性を備えた機種(過度の当たり・ハマリのある機械)は、大量の出玉を獲得することが出来る為の不正改造事件や依存症による横領・強盗事件などの社会問題を引き起こす原因となります。

一方のパチンコ業界側では、売上を伸ばすために賭博性の高い機種を好んで設置する傾向があります。
04年ごろに話題になったパチスロの爆裂機などはその典型例であり、大金を費やすヘビープレイヤーを惹き付け、より多くの利益を回収する性能が特に優れていました。

型式試験は遊技機の賭博性能を決定づけるため、犯罪防止のために規制強化を図る警察と、売上拡大のために規制緩和を狙う業界側との双方の思惑の中心に立たされることになります。


規制の抜け道を狙う開発競争

風営法の法体系においては、各種の規制の条文が「性善説」に立って書かれています。

「性善説」とは規制対象となる法人・個人を善良なる市民として位置付けることであり、その立場を反映して風営法の条文は禁止項目のみ記載する「ネガティブリスト」の形式で書かれています。
これは、法律に明示された行為しか許されない「性悪説」として書かれた自衛隊法とは真逆の立場であり、風営法や施行規則等の法令においては条文で禁止された項目以外の行為は全て許されるということになります。
米国のカジノなどでは犯罪防止の観点から性悪説の立場で書かれた法規が主流で、提出が予定されている日本のカジノ法案においてもこれが踏襲されており、スロットマシンなどの規格は大幅に制限されることになっています。

パチンコホールではここ10年程は400万台を超える設置台数に対して参加人口の減少に歯止めがかからず、店舗の経営を維持する為により高い客単価の狙える機械、すなわち賭博性の高い機械を好んで設置する傾向が続いています。
パチンコ・パチスロの製造会社においても、顧客であるパチンコホールの需要の高い主力の機械はやはり賭博性の高いものとなり、より高い賭博性を追及するための開発競争が激しくなります。
そのため自ずと賭博性能の上限は各製造会社横並びとなり、一歩抜きんでることを目指した企業はネガティブリストに掲載されていない、つまり法律の抜け道を探して型式検定を突破しようとします。


保通協に影響力を持つ警察庁

風営法の法体系において、遊技機の構造等について技術的な基準は施行規則以下の法令で定められ、公開されています。
これらの規定は定期的に改正されますが、基準のギリギリのラインを狙って次々と新しい遊技機を開発してくる製造会社側のペースに対応することは不可能です。

そのため、法律の抜け穴への対策として警察庁は検定機関への影響力を保持し、過度な賭博性を備えた機種が市場に出回ることを抑制しています。
現在の指定検定機関は財団保人の「保安電子通信技術協会」(保通協)の一法人のみで、会長をはじめ幹部には多くの元警察官の人物が名を連ねています。

保通協は警察庁生活環境課の方針に概ね従っており、現在は両者が協力体制を敷くことで抜け道を完全に塞ぐまでには至らずとも、遊技機の賭博性について一定の歯止めをかける役割を担っています。



しかしこの警察主導の検定体制は、賭博性の上昇を望むパチンコ業界側にとっては面白いものではありません。
民主党によるパチンコ法案の策定の動きが活発になるのに合わせて、パチンコ業界内部から新たな検定機関設立へ向けた動きが始まりました。

次回は、「日本遊技機型式検定機構」の設立の動きについて取り上げます。
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