カジノとパチンコの論理学 民主党のパチンコ換金合法化4 遊技場営業の規制及び業務の適正化等に関する法律案

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民主党のパチンコ換金合法化4 遊技場営業の規制及び業務の適正化等に関する法律案


 民主党の「娯楽産業健全育成研究会」(娯楽研)はパチンコ業界の規制緩和を目的とする議員連盟です。そのメンバーはこちら、過去の国会質疑についてはこちら

 02年に結成された自民党の「国際観光産業としてのカジノを考える議員連盟」(以下、カジノ議連)は04年6月に「ゲーミング(カジノ)法・基本構想」を発表するなど活動を重ね、東京都の石原慎太郎知事の活動などと相まってカジノの合法化の機運が高まりました。カジノ議連では賭博そのものであるカジノを合法化することは大変デリケートな問題であるという認識で、国民世論の理解を得るためにも超党派の議員連盟を結成することにし、民主党内のカウンターパートとして娯楽研に協力を打診しました。これを受け04年の10月に娯楽研の中に「カジノプロジェクト」が設置され、同月に同プロジェクトのメンバーとカジノ議連の役員とで会合を持ち、その中で05年の春の通常国会に法案の提出を目指すことで一致しました。
 しかし、自民党のカジノ議連の方針ではカジノの規制を大変厳しくする方向で議論が進んでおり、これにつれてパチンコの換金問題のほか不正や依存症といった社会問題に注目が集まるという懸念が娯楽研やパチンコ業界で高まります。影響は当時も既に表れており、04年の風営法規則改正でパチスロの検定基準が厳格化されたのは、爆裂機の問題に加えてカジノ議連が警察庁にパチンコの換金の法的根拠を問う質問状を送るなどしたことが影響していると見られています。
 そこで娯楽研は05年6月に業界5団体を招いて勉強会を開き、パチンコの換金を合法化する「遊技場営業の規制及び業務の適正化等に関する法律案」、および「遊技場の規制及び業務の適正化等に関する法律大綱」を発表し、06年の通常国会に提出すると表明しました。大綱は法律案の基本方針を示すもので、パチンコの換金をパチンコホール自身あるいは換金専門の公益法人を設置してこれが行うという2つの考え方が明記されました。これに基づいて法律案ではパチンコ店内における換金を認める「現金提供可バージョン」、社会福祉や教育などの振興を目的とした指定公益法人の買取機関に買い取らせることを認める「買い取らせ可バージョン」という2通りの法律案が示されました。
 もちろん大綱および法律案にはこれまでの娯楽研の方針が反映されており、換金合法化のほかパチンコ店の規制緩和が全面的に打ち出された内容になっています。他の主な内容としては、パチンコチェーン店のうちの1店の営業許可取消しが他の全店舗に連鎖しないようする、遊技機の試験機関を保通協以外に認めて競合させる、釘調整をパチンコ店の自由裁量とするなどがあります。(詳細は下記参照)
 しかし、業界側にこれらを検討させて8月に改めて業界5団体に出席を求めて勉強会を開くも、法律案に賛成したのは「パチンコ・チェーンストア協会」(PCSA)の1団体のみで、1団体は欠席し残りの3団体は現在の法律のもとで健全化を進めたいとして、業界団体の大半は娯楽研の法律案に否定的でした。これはパチンコ業界で換金合法化を望んでいるのは主に証券取引所での上場を目指した大手チェーン店であり、業界の多くを占める中小の企業では合法化に伴い社会問題が取り上げられて規制が強くなるおそれを警戒して合法化には積極的ではない勢力が多いためです。
 実際にカジノ議連においてはカジノの合法化が進められるとパチンコの換金の問題に世論が集まり規制が強化される方向に向かうとの見方が従来より支配的になっています。カジノ議連はパチンコに関する検討は始めていませんが、カジノの合法化の後にパチンコの換金の合法化に取り組みカジノ法案との整合性も勘案してパチンコを軽度のギャンブルと位置づけて相応の税負担を負わせて規制を強化する方向性が唱えられています。
 娯楽研は業台団体の意見を聴取した勉強会の翌月のいわゆる郵政選挙での民主党の大敗に伴い、当時の石井会長をはじめメンバーのうちの24人が落選したため再度活動が停滞します。一方の自民党カジノ議連においても会長の野田聖子議員など郵政民営化反対で離党した議員が多く含まれていたため混乱のあおりを受けて05年末まで議論が進展ませんでした。
 娯楽研は06年1月に総会を開き古賀一成幹事長を会長に昇格して新体制を発足させて態勢立て直しを図りますが、当面の間はカジノとパチンコの問題に関してカジノ議連のリードを許すことになります。


05年6月28日、娯楽研勉強会で発表された『遊技場営業の規制及び業務の適正化等に関する法律案』の要点
(パチンコ業界誌「Green Belt」まとめ)

 これまでの風適法では法人が複数の営業所で営業していることが少なくなく、そうした現状で一部の営業所での営業許可取消が、同一法人全ての営業所の営業許可取消事由となるのは不合理である。従ってそうした規定は設けないか、設けるとしても個人として風適法違反による営業許可取消処分を受けた者が、役員の過半数となった場合のみ不許可事由とするべきである。
 保護対象施設の範囲から診療所を除くとともに、当該保護対象施設その他の場所的制限を、政令の基準にしたがい条例で定めるとの現行の規定を改めて法律で限定列挙する。
 構造、設備及び遊技機の変更に関する未承認について、国家公安委員会規則で定める一定の期間内に理由を付して通知するようにする。
 照度規制をなくし、騒音規制を別の法律に委ねる。
 広告及び宣伝に関する規則について、当該規制内容を国家公安委員会規則で定めることとする。
 「遊技機の試験機関」について、公益法人だけでなく中間法人でも可能とし、かつ当該試験機関の権限を分散化する。
 遊技機の変更の概念から、国家公安委員会規則で定める遊技くぎの幅の調整によるものを除外する。
 景品交換について現金の提供そのものを合法化するか、又は指定公益法人である景品買取機関に買い取らせることを認める。なお、景品買取機関に買い取らせることを認める場合には、国家公安委員会規則で定めるところにより、遊技場営業者は、当該買取機関に一定の金銭を交付するものとする。

(「Green Belt」05年10月号の記事『風適法遵守か、単独立法か?民主党の「法律案大綱」が与える影響度』より引用)


同日、娯楽研勉強会におけるパチンコ業法発表に同席した議員一覧(敬称略、役職名は当時のもの)

(本人出席)
会長      石井一
副会長    佐々木秀典
事務局長   牧義夫
事務局次長 小川勝也
副幹事長   金田誠一
幹事長代理 松崎公昭
常任幹事   増子輝彦
幹事      室井邦彦 鈴木克昌 中根康浩
会員      荒井聡 泉健太 岩本司 奥村展三 鈴木康友 樽井良和 山下八洲夫
(代理秘書出席)
副会長    田中慶秋
幹事長    古賀一成
常任幹事   池田元久 古川元久
幹事     小林憲司
会員      岡本充功 小沢鋭仁 下条みつ 神風英男 肥田美代子 峰崎直樹 笠浩史

(「遊技ジャーナル」05年7月号の記事『パチンコ単独立法案を業界側に開示』より引用)


同日、娯楽研が業界5団体にパチンコ業法を発表する模様を報じた業界誌の記事

 民主党・娯楽産業健全育成研究会(石井一会長)は6月28日、衆議院第二議員会館において、全日遊連、日遊協、同友会、PCSA、余暇進の5団体を招いて勉強会を開催し、かねてより研究してきたパチンコの単独立法「遊技場営業の規制及び業務の適正化等に関する法律大綱」を発表。超党派による議員立法として来年の通常国会に提出する考えを示した。今回提示された大綱に基づく法律案は、単独立法を前提に、現金提供そのものを合法化する「現金提供可バージョン」と、指定公益法人の景品買取機関に買い取らせることを認めるとする「買取らせ可バージョン」の二通りで、意見収集のために招致された各団体出席者からは、慎重論から積極支持まで様々な反応が示された。(略)
 各団体は後日持ち帰って検討後に正式回答するとしているが、「単独立法」や「現金提供」はともかく、「買取らせ可バージョン」は実態に近い運営が合法化される可能性を秘めているだけに、各団体がどのような反応を示すのか非常に興味深い。が、それでも今回の動きが「パフォーマンス」と業界で囁かれるのは、議員立法そのものに現実性を感じないこと以上に、カジノ議連や遊技振興議員連盟などを抱える自民党とのかねあいや、あるいは政治的な背景が透けて見えるからなのかもしれない。
 娯楽研では今後、各団体との勉強会を継続的に行いながら今回の法律案を加筆修正し、正式にまとまり次第、自民党の協力を得た上で来年の通常国会へ提出する方針を固めている。

(「遊技通信」05年8月号の記事『民主党娯楽研、買取らせ可のパチンコ単独立法案を提示』より引用)
※文中の、遊技場関連5団体の正式名称は以下のとおり
 「全日遊連」…全日本遊技事業協同組合連合会(パチンコ店の組合の全国連合会)
 「日遊協」…日本遊技関連事業協会(パチンコ店やメーカー等の参加する業界唯一の社団法人)
 「同友会」…日本遊技産業経営者同友会(中規模のパチンコ店経営者中心の団体)
 「PCSA」…パチンコ・チェーンストア協会(大手パチンコチェーン店の団体)
 「余暇進」…余暇環境整備推進協議会(パチンコ業法などを唱える団体)


同日、娯楽研勉強会におけるパチンコ業法について牧義夫事務局長のコメント

「私共がパチンコを風適法の枠から外すということと、今の3店方式の換金のシステムをもう少しクリーンな形にできないものか、この2点に議論を集約し、大綱らしきものを作ったのは3年前になる。その間、自民党でもカジノ議論の方が進み、自民党の方から我々の方に対して色々な働きかけがあった。カジノ新法ができることになれば、やはり民主党の力も借りなければならないので、法案の摺り合わせをしていきたいと言ってきた。そうした流れの中で今後はパチンコ産業はどういう法律の枠組みでやるのかという話にもなりかねない状況だ。この大綱をもとに一定の法律らしきものを作ってみて、それを叩き台にして議論したいということで資料を用意させていただいた」

(「Green Belt」05年10月号の記事『風適法遵守か、単独立法か?民主党の「法律案大綱」が与える影響度』より引用)


05年8月2日、娯楽研勉強会にて業界団体のパチンコ業法への検討結果についての発言を報じた記事

 パチンコ営業を風適法の枠から外すことを前提に、「現金提供可」と「買い取らせ可」の二通りの案を受けての検討結果が期待された今回の勉強会には、余暇進を除く4団体が出席した。
 冒頭、娯楽研の幹事長を務める古賀一成衆議院議員が「民主党の中でも他の議連に比べて勉強した回数は多かった。ようやく法案・大綱を示すところまできた。いずれこの法案を一つのモデルとして、衆議院の法制局へ打診するなど一歩一歩進めていきたいと思っているが、ただ進めていくにあたって論点がたくさんあるためは、いろいろな調整は必要で、今日はこの法案を進めていくというコンセンサスで皆様方とキャッチボールしたい」とあいさつした後、石井一会長が「今日は皆さんのご意見を伺って、結論ではなく、一定の方向性を示してケジメをつけたい」と会の趣旨を説明。これを受ける形で各団体の出席者がそれぞれ「検討結果」の報告を行った。
 まず最初に全日遊連・村井恒雄総務部長は、ここ数年の総会決議事項やスローガンなどに基づき、現行法下での健全娯楽を推進していくことを述べた。続いて日遊協・天野雅行参与が、法律案を検討する場である「遊技業の在り方特別委員会」6月29日以降、開催されていないことから、案は配布したものの意見収集ができていないことを報告した。
 また、同友会からは平澤黎哲副会長が出席し「7月20日に理事会で検討したが、法改正に対する方向性は定まっていない」とした上で、案については出店の際の保護対象施設などに関する部分に対しては一定の評価をしながらも、換金の合法化を提示している第9条に関しては「賛同しがたい面がある」と一歩踏み込んだ発言を行った。
 一方、前回の意見交換会で前向きな姿勢を表したPCSAからは山田孝志代表理事が出席。「(略)公的資金にしても我々には融資を受けられないという現実が起きている」と風俗営業者の窮状を訴えながら改めてパチンコ単独立法案に対して賛同の考えを述べた。
 前回から引き続いて出席したPCSA・法律問題研究会リーダーの森治彦氏も(略)「脱・風適法」に賛同。大綱記載の項目を順に解説する中で、チェーン店企業における営業取り消しの連鎖反応の制限や、遊技機変更の概念から釘幅調整を除外する項目を支持すると共に、大綱のメインとも言える景品交換については前回同様、「買い取らせ可」に期待を寄せた。(略)
 途中、組織としてのスタンスが平行線を辿る中で、石井会長が少し強い口調で「先ほど、同友会の副会長が9条については賛同しかねるとおっしゃったが、裏を返すと今のままで良いと思っているのか」と詰問する場面があった

(「遊技通信」05年9月号『「脱・風営法」に団体間で温度差』の記事より引用)


パチンコ業法発表の1年前の04年11月4日、
カジノ議連岩屋毅事務局長(当時)と娯楽研牧義夫事務局長との対談(部分)

――(娯楽研の中に)今度はカジノプロジェクトを立ち上げたということですね。

 (略)自民党さんの方でつくった基本構想、さっき「卵の卵」というお話でしたが、整然としたよくできたものが出てきましたので、われわれもそれなりにそれを評価した上で、一緒にやってもいいじゃないかという機運がここへ来て高まってきたということです。野田聖子会長、岩屋事務局長からも、ぼちぼち一緒に勉強していってもいいんじゃないかというお話があったものですから、そういうたたき台までつくっていただいたのであれば、こちらも喜んでということになりました。そこで、娯楽研の石井会長に話をすると、若い人を中心に娯楽研の中にカジノプロジェクトをつくったらどうだということだったので、正式には(2004年)10月に、古賀一成先生が代表、私が事務局長ということで、15名ほどでカジノプロジェクトを立ち上げたわけです。

――両議連とも、カジノの問題については、政党を超えてやっていくということで、意見は一致していると考えていいのでしょうか?

岩屋 もちろんです。この問題は、とくにどこかの政党だけがやるというようなたぐいの話ではあるません。全国民的な理解と支持を得られなければいけないので、本来、超党派でやるべきことだと思います。牧先生たちともご相談しましたが、近々、民主党のカジノプロジェクトの役員の方と、私たちのカジノ議連の役員とで合同勉強会をやるつもりです。そこで、今後どうするかということも含めてご相談させていただいて、できれば超党派の議連というところまで、来年の通常国会の早い時期にぜひそういう形に持っていきたいと思っています。

 個人参加で「この指、とまれ」で、公明党からも共産党からも社民党からも、無所属の人も入れるような受け皿をつくっておきたいですね。あくまでもいままでは自民党のカジノ議連であり、民主党の娯楽研ですから、それが合体するという意味ではなく、それぞれは活動を続けながら、その上に超党派の議連を立ち上げたい。

岩屋 それが新春からの通常国会でという日程です。お互いに戻って相談したり協議したりするいまの議連やプロジェクトは残しておいて、まだ相談して決めてはいませんが、超党派で全国会議員にご案内するような会をぜひつくりたいと思っています。

(略)

――そこで、パチンコ業界の話ですが、いまカジノの話題が出ると、業界ではパチンコの3店方式の問題がクローズアップされるのではないか、と危惧する声があります。

 おっしゃるとおりだと思います。カジノ新法の形が徐々に見えてくれば、パチンコホールはいったいどうなんだという話に当然なってくるでしょう。現在のように、風適法の枠の中で実に不自然な形で置いておくわけにはいかない状況になる可能性は高いと思います。カジノ新法と同じ枠組みにはちょっとなじまないと思いますが、遊技新法といったような、風適法から外した中でパチンコホールのあるべき姿をきちっとくくる枠組みは必要になってくるでしょう。それを民主党の娯楽研でもずっと研究してきたわけです。

岩屋 私たちも基本的に同じ認識を持っています。カジノ立法というものをもしやれば、しからばパチンコというのはどうなんだという議論に逢着せざるを得ないと思うんです。

(略)

――自民党のカジノ議連は、カジノという話でまとまっていらっしゃる議連でしょうが、そういう付属的な部分でパチンコというものが出てきた場合には、それについても議論されていかれるんでしょうか?

岩屋 もちろんそうです。ただ、最初にその話から入っていくと、なかなかカジノの話が先に進まないのではないかと考えて、とりあえずカジノというものをくくりだして立法化するという勉強をまずやってみようということでスタートしたんです。先ほど申し上げたように、そうはいってもいよいよ立法ができそうだとなってくれば、パチンコ業界の問題をどう考えるかということを併せて考えていかざるを得ないと思います。(略)これはいまからの議論でうまく言えないのですが、カジノというのはまさしく名前のとおり賭博ということですが、パチンコは遊技というくくりですよね。そうはいえども、実際には九十数パーセント、換金が行われているのも事実です。いま牧先生がおっしゃったように、カジノのほうはギャンブル課税を前提にしていますので、その収益の中から依存症対策など、いろいろなものをやっていく仕組みをつくっていきたいと思っています。一方のパチンコのほうは、新しい法体系ができるならば、その中で課税とはすぐにとは申し上げませんが、なんらかの形で社会還元をしっかりしていただくような形をつくっていただくと、またパチンコ業界に対する国民のみなさんの認識が変わってくるだろうと思うんです。

(「Amusement Japan」05年1月号の記事『[新春特別対談]カジノ法案へ強力タッグ』より引用)
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