カジノとパチンコの論理学 2010年11月

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民主党 遊技業に関する法律案5 型式検定を巡る攻防

民主党の「娯楽産業健全育成研究会」(娯楽研)はパチンコ業界の規制緩和を目的に活動している、党所属国会議員による議員連盟です。
(詳しくはこちら 民主党のパチンコ換金合法化1 娯楽研のメンバーの名簿と目的
2010年6月にまとめた「遊技業に関する法律案」(パチンコ法案・遊技業法案)を11年の通常国会に提出する方針で、この法案の中には遊技機(パチンコ・パチスロ機)の規制緩和や監督官庁を警察庁から経済産業省に移管する趣旨の条文が盛り込まれています。
(詳しくはこちら 民主党の遊技業に関する法律案1 原案の概要と予測される効果

今回から2回の予定でこのパチンコ法案に関係する大きな動きとして、パチンコ業界関係者が設立した「日本遊技機型式検定機構」について取り上げていきます。
この日本遊技機型式検定機構とは、遊技機(パチンコ・パチスロ)の機種の賭博性(射幸性)についての検査をするための機関で、現在検定を担っている「保安電子技術通信協会」(保通協)と競合させる狙いがあります。

今回の記事では機構の設立の経緯について述べる前段階として、現状の遊技機の検定制度のあらましについて簡単に取り上げ、制度を取り巻く様々な要因について分析します。
法案の直接の内容には触れませんが新たな検定機構の認可は、今回の娯楽研の法案においては主管を経済産業省に移す構想と並ぶ規制緩和の目玉の一つです。


試験機関の必要性

戦後、パチンコが庶民の娯楽として広く普及すると、新規に設置されるパチンコ台の台数ほか、交換されて新たに導入される機械の台数が増加します。
さらに、1980年代にパチンコのフィーバーブームが起こり電子制御の遊技機が増加すると、爆発的人気による検査数の増加が警察業務に支障をきたしたほか、電子機器への理解の不十分な試験官による検査が行われたり、徐々に問題が生じてきました。

そこで、84年に行われたパチンコの規制を定める風営法の大幅な改正作業の際に、各都道府県別に行われていた機種の認可を補完することを目的に、新たに「型式検定」を行う外部の試験機関を指定できるようにしました。


型式検定とは何か

「型式」とは自動車や電化製品製造等において使用される製品の機種のことであり、パチンコ業界以外においても安全性を求められる一部製品について、市販される一台一台の検査を行う替わりに用いられています。
そこでは、国や民間の検査機関が製造業者から提出されたサンプルを詳細に検査し、その試験を通過すると同じ型式の製品の検査を一括して免除されます。
型式による検定制度を用いると、同じ型枠で成型された商品のように大量生産の製品の性能が標準化していることを前提として、本来必要とされる検査のためのコストを大幅に圧縮することができます。

遊技機の型式検定においては、製品の性能によって生じる賭博性を制限することを主な目的としています。

具体的に例を挙げると、パチンコ玉発射数を金額換算で1分間に400円以内、一回の大当たりを9600円以内とし、パチスロにおいてもこれに準じるよう制限しています。
また、遊技開始から一定時間経過後の最高獲得金額、最高消費金額についての制限枠が複数定められ、この範囲を超える機械は検定を通過することが出来ません。


警察と業界側の綱引き

警察庁や都道府県警では、犯罪を防止する保安警察が犯罪の芽を摘み国民の生活環境の悪化を防止する役割を担っており、風俗産業の規制・取締りはその中の大きな柱の一つです。
出玉の増減の波が激しい過度の賭博性を備えた機種(過度の当たり・ハマリのある機械)は、大量の出玉を獲得することが出来る為の不正改造事件や依存症による横領・強盗事件などの社会問題を引き起こす原因となります。

一方のパチンコ業界側では、売上を伸ばすために賭博性の高い機種を好んで設置する傾向があります。
04年ごろに話題になったパチスロの爆裂機などはその典型例であり、大金を費やすヘビープレイヤーを惹き付け、より多くの利益を回収する性能が特に優れていました。

型式試験は遊技機の賭博性能を決定づけるため、犯罪防止のために規制強化を図る警察と、売上拡大のために規制緩和を狙う業界側との双方の思惑の中心に立たされることになります。


規制の抜け道を狙う開発競争

風営法の法体系においては、各種の規制の条文が「性善説」に立って書かれています。

「性善説」とは規制対象となる法人・個人を善良なる市民として位置付けることであり、その立場を反映して風営法の条文は禁止項目のみ記載する「ネガティブリスト」の形式で書かれています。
これは、法律に明示された行為しか許されない「性悪説」として書かれた自衛隊法とは真逆の立場であり、風営法や施行規則等の法令においては条文で禁止された項目以外の行為は全て許されるということになります。
米国のカジノなどでは犯罪防止の観点から性悪説の立場で書かれた法規が主流で、提出が予定されている日本のカジノ法案においてもこれが踏襲されており、スロットマシンなどの規格は大幅に制限されることになっています。

パチンコホールではここ10年程は400万台を超える設置台数に対して参加人口の減少に歯止めがかからず、店舗の経営を維持する為により高い客単価の狙える機械、すなわち賭博性の高い機械を好んで設置する傾向が続いています。
パチンコ・パチスロの製造会社においても、顧客であるパチンコホールの需要の高い主力の機械はやはり賭博性の高いものとなり、より高い賭博性を追及するための開発競争が激しくなります。
そのため自ずと賭博性能の上限は各製造会社横並びとなり、一歩抜きんでることを目指した企業はネガティブリストに掲載されていない、つまり法律の抜け道を探して型式検定を突破しようとします。


保通協に影響力を持つ警察庁

風営法の法体系において、遊技機の構造等について技術的な基準は施行規則以下の法令で定められ、公開されています。
これらの規定は定期的に改正されますが、基準のギリギリのラインを狙って次々と新しい遊技機を開発してくる製造会社側のペースに対応することは不可能です。

そのため、法律の抜け穴への対策として警察庁は検定機関への影響力を保持し、過度な賭博性を備えた機種が市場に出回ることを抑制しています。
現在の指定検定機関は財団保人の「保安電子通信技術協会」(保通協)の一法人のみで、会長をはじめ幹部には多くの元警察官の人物が名を連ねています。

保通協は警察庁生活環境課の方針に概ね従っており、現在は両者が協力体制を敷くことで抜け道を完全に塞ぐまでには至らずとも、遊技機の賭博性について一定の歯止めをかける役割を担っています。



しかしこの警察主導の検定体制は、賭博性の上昇を望むパチンコ業界側にとっては面白いものではありません。
民主党によるパチンコ法案の策定の動きが活発になるのに合わせて、パチンコ業界内部から新たな検定機関設立へ向けた動きが始まりました。

次回は、「日本遊技機型式検定機構」の設立の動きについて取り上げます。
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ジャンル : 政治・経済

民主党 遊技業に関する法律案4 業界外の反応の予測

民主党「娯楽産業健全育成研究会」(娯楽研)、同「新時代娯楽産業健全育成プロジェクトチーム」(娯楽PT)はパチンコ産業の換金合法化を始めとして、規制緩和に向けて活動している団体です。
(詳しくはこちら 遊技業に関する法律案1 原案の概要とその背景
娯楽研は2010年6月に「遊技業に関する法律案」(パチンコ法案・遊技業法案)を取りまとめ、その中で賭博性に関する大幅な規制緩和を打ち出し、11年の通常国会に提出する方向で調整作業に入っています。
(詳しくはこちら 遊技業に関する法律案2 原案の内容と予測される効果

今回は、今後の政府内やマスコミ・世論の今後の動向について予測します。



予想される業界外部の反応(2010年10月現在・筆者まとめ)

・政府内の調整は進んでいませんが、政治主導を旗印に民主党が省庁側を押し切るでしょう
・テレビ、ラジオでは大半で問題視されることはなく、法案に理解を示す意見が出るでしょう
・新聞、雑誌では一部でカジノと比較して社会問題を取り上げ、問題視する可能性があります
・世論は報道の影響を大きく受けることになりますが、大きなうねりとなるかは現状では不透明です


パチンコ業界内の意見調整も重要ですが、社会問題を抱えたパチンコ業界の大幅な規制緩和にあたっては行政、報道、世論の動向が業界内の意見調整にも大きな影響をもたらします。
ただし、こちらはまだ基本的な情報すら行き届いておらず不透明な部分がありますが、現状での有力なシナリオは上記の通りになります。

詳しく見ていきましょう。


政府内の調整

業界団体の意見を聴取して遊技業法案の骨格を固める作業と前後して、本来は政府の各省庁への調整が必要となります。
カジノ法案の策定にあたっては、04年の「基本構想」、06年の「基本方針」等をまとめる段階から各方面の有識者のほか関係する省庁の担当者を交えて議論を進めてきましたが、娯楽研のパチンコ法案にはこの作業がほとんど見られません。
風営法の改正作業についても、通常は改正への世論が高まると刑法学者等有識者の諮問委員会の答申を得てから法案の改正案が作成され、パブリックコメントとして一定期間国民の声を取り入れる期間を置いて国会に提出されることが慣例となっています。

今回の遊技業法案については衆議院法制局と法案の文言について議論した程度で、警察庁や経済産業省との調整さえも現在までに伝えられていません。

しかし、カジノ法案の進捗を考慮すると残り時間が少ないため、たとえ十分な根回しが行われていなくとも民主党政権下で他の案件でも多く見られたように、政治主導を名目として法案の形をある程度整えた後に政府内の調整作業を飛ばして突如法案が発表される可能性が高いでしょう。


テレビ、ラジオの報道

一般のメディアでは今回の娯楽研の法案の動きについてはほとんど報道されていません。
これは、まだ活動が水面下であり限られた範囲でしか議論されていないことが主因です。
カジノ法案への論調も影響するところではありますが、パチンコ法案が広く報道された場合には社会問題が影を落とす形となり世論の大半の賛成を得るのは困難になると思われます。
ただし以下の二つの要因により、多くのテレビ・ラジオにおいてはパチンコ法案について批判的な報道は難しいでしょう。

テレビの情報番組や報道番組で社会批評をするなど世論に対して影響力のある人物の中には、既にパチンコ業界に浸透しており業界を擁護する可能性が高い人物がいます。
情報番組などで司会やコメンテーターを務めるテリー伊藤氏や和田アキ子氏はパチンコ業界団体やパチンコホール大手の広告塔を務めており、元東京地検特捜部長で報道番組コメンテーターの河上和雄氏は「遊技産業健全化推進機構」の代表理事を務めるなどパチンコ業界の代表者の一人です。
この他にもタレント・芸能人の中では自身をテーマにしたパチンコ・パチスロ台を制作して印税収入を得たり、タレント活動として遊技台の発表会やパチンコ店でのイベントなどで活躍する人が多くいます。
このような人々の大半はパチンコ業界への批判を忌避する可能性が高く、仮に番組などで取り上げられたとしても多くは業界を擁護する立場で世論にパチンコ法案の必要性を訴えると思われます。

また、テレビやラジオの情報番組にはスポンサーとしてパチンコ関連の企業名が登場することが多く、そこでは営業的な利害関係により業界に不利な言動が控えられる可能性が高いでしょう。
近年はパチンコ・パチスロメーカーがホールへの販売促進効果を狙ってCMを多く放送するようになり、ホール自体のCMと合わせると広告収入の減少が止まらないマスコミ業界に在ってパチンコ業界のCMは重要性を増しています。


新聞、雑誌の報道

一方、過去のパチンコ報道などを踏まえると新聞や雑誌ではパチンコの社会問題を大きく取り上げてきたことがあり、こちらではパチンコ法案の負の効果についてもスポットが当たる可能性があります。
ただし、インターネットの隆盛に伴い、新聞社や出版社にも不況の影響が現れ調査報道の数が減ってきている傾向があり、予算や人手をネックに十分な取材が出来ない可能性もあります。
既に00年頃からパチンコの社会問題についての報道が減少傾向にあることなどから、報道機関についても業界に対しての基礎的な情報が欠けていることも考えられます。


世論の動向

世論については現状では大半は関心を持っていないと思われます。
パチンコ業界について問題視する議論はインターネット上でも一部で行われていますが、残念ながら業界内部の人々と比較するとインターネット発信の情報に偏り誤解も広がっています。
一般の業界との関わりのない人々の間ではパチンコの三店方式という言葉を知らないという割合が非常に多く、言葉を知っていても換金は法律的に認められておりなんら問題はないと考える割合も多いと思われます。
ただし、パチンコでは賭博類似の行為が行われており、パチンコ依存症により深刻な事件が多く起こっているということについては世論の認識も高まっています。
そのため、報道の取り上げ方にもよりますがパチンコ法案のニュースがきっかけになって、パチンコ業界の抱える社会問題に世論の注目が集まる可能性は十分あるでしょう。



以上、四回にわたって民主党娯楽研の「遊技業に関する法律案」について論じてきましたが、早速10月末にこの法案が既に警察庁に大きな影響力を及ぼしている具体的な事案が明らかになりました。
次回は、「日本遊技機型式検定機構」について取り上げます。
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ジャンル : 政治・経済

民主党 遊技業に関する法律案3 業界内の反応の予測

民主党「娯楽産業健全育成研究会」(娯楽研)、同「新時代娯楽産業健全育成プロジェクトチーム」(娯楽PT)はパチンコ産業の換金合法化を始めとして、規制緩和に向けて活動している団体です。
(詳しくはこちら 遊技業に関する法律案1 原案の概要とその背景
娯楽研は2010年6月に「遊技業に関する法律案」(パチンコ法案・遊技業法案)を取りまとめ、その中で賭博性に関する大幅な規制緩和を打ち出し、11年の通常国会に提出する方向で調整作業に入っています。
(詳しくはこちら 遊技業に関する法律案2 原案の内容と予測される効果

今回は、現在進行中で今後明らかになる見込みの業界団体側の反応について予測します。


予想される業界団体の反応(2010年10月現在・筆者まとめ)

・主要業界団体は法案に対して賛成と慎重姿勢に分かれ反対はないでしょう
・業界最大の全日遊連は60%の確率で慎重な態度を取るでしょう
 ただし、賛成に回る可能性も十分に残されています
・大手中心のPCSAは95%の確率で賛成の態度を取るでしょう
・社団法人の日遊協は90%の確率で慎重な態度を取るでしょう
・中堅中心の同友会は80%の確率で賛成の態度を取るでしょう
・独自路線の余暇進は60%の確率で賛成の態度を取るでしょう
・パチンコメーカーの日工組は90%の確率で慎重な態度を取るでしょう
 ただし、水面下では70%の確率で娯楽研に協力するでしょう
・パチスロメーカーの日電協は70%の確率で賛成の態度を取るでしょう
・このうち全日遊連・PCSA・日工組・日電協の姿勢が娯楽研に重視され、
 全日遊連の態度が鍵になるでしょう
・パチンコホール5団体で意見の集約を目指す動きも始まっており、
 そこでは70%の確率で賛成の態度でまとまるでしょう


法案の骨格を固めた娯楽研は現在パチンコ業界団体の意見の集約を待っている段階ですが、各団体の特徴や05年の意見聴取時などを参考にそれぞれの反応を予測すると以上のようになります。
以下、パチンコ業界内部で法案についての態度が分かれる原因について述べ、その後に各団体の法案への姿勢について論じていきます。


大手は賛成、中小は反対

パチンコホールの間ではでは以前の記事で述べたように、パチンコ法案に対しての是非が企業規模の大小によって大まかに分かれる傾向があります。
多くのチェーン店舗を抱えさらに拡大する意欲を持つ大手のチェーン店は、証券取引所に上場するためネックになっている風営法規制から脱却するため新法の制定を望む傾向にあります。
(詳しくはこちら パチンコの換金4 合法化の動き
これに対して、中小企業の場合はそもそも上場の意欲は無く、パチンコ業界の大きな動きがマスコミなどに取り上げられると業界の抱える負の問題にも注目が集まり業界の意に反して規制強化につながりかねないとの危機意識が強く、慎重意見をもつ経営者の割合が多くなります。
(詳しくはこちら パチンコの換金5 現状の維持
また、他業種の大企業による新規参入につながり競争が激化するのではとの声も多くあり、態度を硬化させる一因となっています。

つまり、大手チェーン店は上場を視野に遊技業法案に賛成の立場を取る傾向が高く、中小企業は現状維持の立場で法案に反対にまわる傾向が高くなります。


業況の悪化で賛成が強まる

05年の「遊技場営業の規制及び業務の適正化等に関する法律案」についてはまさにこの傾向を反映して一部の大手の団体を除き反対意見が主流でした。
(詳しくはこちら 民主党のパチンコ換金合法化4 パチンコ業法の内容
しかし、当時から五年経過した今回は与党第一党の民主党の提案であり実現性が高く、パチンコ業界でも業況が悪化して中小企業を中心に倒産企業が相次ぎ大手が相対的に勢力を増しています。
さらに、中小企業の中でも現状を打破する為に変革を求める声が日に日に強まっており、当時に比べると格段にパチンコ業界側の理解を得やすい環境にあります。


パチンコホール5団体とは

パチンコホール系主要団体は、次の5団体です。

・全日本遊技事業協同組合連合会(全日遊連) 都道府県別のパチンコ店協同組合の最上位団体
・パチンコ・チェーンストア協会(PCSA)      大手企業中心の団体、民主党との交流が多い
・日本遊技関連事業協会(日遊協)        業界体唯一の社団法人、警察庁の影響が強い
・日本遊技産業経営者同友会(同友会)     中堅企業中心の団体
・余暇環境整備推進協議会(余暇進)       独自のパチンコ業法を推進する団体


各団体にそれぞれ特徴はあるのですが、本題から逸れるためここでは省きます。
この中で上場を望んでいる団体はPCSAで05年の法案に唯一賛成し、今回の法案策定にあたっても重要な役割を演じてきました。


5団体連携の動き

娯楽研が05年にまとめたパチンコ法案に対しては娯楽研が説明会を開き業界側の意見を聴取しましたが、当時は民主党が野党であったため足元を見られPCSAを除いて軒並み非協力的で会員の意見収集すらしない団体が大半でした。
結局、法案発表直後に郵政解散が起こり石井一会長をはじめ落選議員が相次いだため法案提出はなされませんでした。
しかし、今回は民主党が与党第一党であり最長で三年間国政選挙がなく、仮に世論で反対論が起こっても押し切ることも可能な状況です。

前回は業界団体間で意見をまとめる調整作業すら行われずに各団体が三々五々に慎重姿勢を発言するのみでしたが、今回は10月12日に5団体代表者会議を開催するなど既に積極的な調整作業を始めています。
仮に法案について後ろ向きであれば意見調整すら必要でなく、今回は業界団体側も法案が成立する可能性が高いと睨み真剣に取り組んでいるということが分かります。
各団体が議論まとめるためのテーブルに着いたということで第一段階をクリアしており、次は業界の総意として賛成の方向でまとめられるか否かに焦点が移りますがその可能性は高いといえるでしょう。


パチンコホール5団体それぞれの対応

以下に各団体について順に見ていきましょう。

全日本遊技事業協同組合連合会(全日遊連)はパチンコ業界最大の団体で、全国の地区別の単位組合(単組)、さらに都道府県別のパチンコホールの協同組合(都道府県遊協)を束ねる協同組合の中央団体です。
そのため傘下団体に中小企業の割合が高くなりその意見が尊重される傾向があり、慎重な態度を取る可能性が若干高いと思われます。
ただし、近年は業況の悪化により業界全体に危機感が広がっており、中小企業の倒産・大企業の店舗拡大の傾向もあるため、全日遊連内部の勢力が逆転して法案推進に傾く可能性も十分あります。
他の団体と同様に既に娯楽研から法案の提示を受けていますが、9月の理事会ではこの件について議論を避けていました。
上述のようにホール5団体の枠組みといった外部からの圧力もあり内部での意見も大きく割れる見込みで、全日遊連が慎重姿勢を取るか賛成に回るかは現状では微妙な状況です。

パチンコ・チェーンストア協会(PCSA)は大手パチンコチェーン店が加入する団体で、娯楽研との交流が最も多い団体です。
今回の娯楽研の遊技業法案もPCSAの意向を踏まえた可能性が高く、法案に反対する理由もないため当然賛同に回るでしょう。
PCSAは換金合法化を強く訴えているため、法案にさらなる規制緩和の条項や換金合法化を盛り込むよう要請する可能性があります。

日本遊技関連事業協会(日遊協)はパチンコ業界唯一の社団法人として警察庁から業界団体の代表とみなされ、自らも警察庁とのパイプ役を自任するなどホール関連団体としては警察庁の影響の最も大きい団体です。
警察庁はパチンコ業界の所管を経済産業省に移管する趣旨の本法案に賛同する見込みは低いため、日遊協は法案に慎重な立場を示すでしょう。
既に9月の理事会後の記者会見でパチンコ業法推進とは逆の「風適法遵守」の姿勢を明確に示しており、今後もこの方針を転換する可能性は低いと思われます。
(※「風適法」とは現行のパチンコ規制を定める「風営法」のこと)
ただし、パチンコホール主要5団体間で意見調整する動きがありそこでは賛成の方向でまとまる公算が高く、今後は日遊協の影響力低下を懸念して慎重姿勢を強くを打ち出せない可能性があります。

日本遊技産業経営者同友会(同友会)は中規模パチンコホール企業等が中心の団体です。
同友会は法案には05年の法案の際には「賛同できない」としてを物議をかもしましたが、業況悪化を鑑みて今回は賛成に回る見込みです。
9月には同友会代表を座長とした特別委員会を設置し、遊技業法案の内容に対して既に同友会としての意見をまとめています。
その後、パチンコホール5団体で意見の集約を目指すべきとの表明し、慎重な全日遊連や日遊協に対して側面から後押しをしています。

余暇環境整備推進協議会(余暇進)は独自にパチンコ業法を研究し、制定を訴えてきた団体です。
前回は娯楽研の説明を受けた後の検討結果を示す会合を欠席して消極的姿勢を露わにしていましたが、今回は5団体代表者会議に参加しています。
そのため賛成する可能性が若干高い見通しですが、独自路線を貫き民主党案に乗らない可能性もあります。


パチンコ・パチスロメーカーの主要組合

日本遊技機工業組合(日工組)はパチンコ台製造全メーカーの組合で、警察庁との関係が極めて良好な団体の一つです。
そのため、表面上は日工組は法案に慎重な態度を取るとみられますが、規制緩和を見越して水面下で娯楽研に協力する可能性が高いでしょう。

日本電動式遊技機工業協同組合(日電協)はパチスロメーカーの有力な団体で、日工組とは対照的に高い賭博性のパチスロ台を製造して社会問題化するなどしばしば警察庁の突き上げを受けてきた団体です。
爆裂機問題に関連して04年に規制強化された風営法規則の影響を大きく受けてきたこともあり、法案に賛成する可能性が高いでしょう。


業界団体の反応―まとめ

以上、大まかに見てきたとおりパチンコホール、メーカー系の主要団体では賛成か慎重な姿勢を取り、明確に反対する団体はないとみられれます。
パチンコホール系5団体の内で影響力の大きな団体は全日遊連とPCSAで、娯楽研にとって業界の要請を得るという名目を掲げるには全日遊連の賛同を得ることが重要になりますが、こちらは現状では賛否ともにあり得る状況です。

政権与党の民主党として娯楽研が法案成立の道筋を全日遊連に示すことが出来れば賛同に傾く可能性があり、遊技業法案は業界の後押しを受けて大きく前進することになります。
一方、今後の世論や報道が批判に傾き法案成立のハードルが上がった場合、賛成の可能性の比較的低い団体から慎重姿勢が増える見込みで、さらには反対の姿勢を打ち出す団体が現れる可能性もあります。

現状では娯楽研に対して業界団体から強硬な反対論が出る可能性が低いため、法案の制定手続きに大きな支障はないでしょう。


次回は、「遊技業に関する法律案」について、官僚機構・マスコミ・世論の反応について予測します。
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